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  • アカデミアにおけるパワハラ対策
Asteroid “Yukomotizuki”

小惑星“Yukomotizuki”が本になりました。

望月の国内外の理科教育への貢献により、小惑星9109が
“Yukomotizuki”と命名されました[2010年、IAU(国際天文学連合)認定]。小惑星とは、火星と木星のあいだにある太陽系の小天体です。

湯浅年子賞金賞

左から、TYLフランス側ディレクターのMarc Besançon氏 (CEA/Irfu)、望月優子、TYL日本側ディレクターの幅淳二氏(KEK素粒子原子核研究所)

Left to right, Prof. Marc Besançon (French Director, TYL), Yuko Motizuki, Prof. Junji Haba (Japanese Director, TYL)

お茶の水女子大学の室伏きみ子学長から賞状を、TYLフランス側ディレクターのMarc Besançon氏から湯浅博士の肖像が刻まれた記念のメダルを授与いただきました。(2017.2.24)

Last updated:Feb. 6, 2024

IAU Symp. 358 "Astronomy for Equity, Diversity and Inclusion"(Nov. 2019)において、キーノート講演をしました。スライドはこちら 内容は、ネイチャー誌から招待を受け、記事になる予定で進んでいます。 Motizuki's keynote talk at IAU Symp. 358 "Astronomy for Equity, Diversity and Inclusion"(Nov. 2019)
* The content of this talk has been invited to be an article in Nature (planned to be released in 2021)

アカデミアにおけるパワハラ・セクハラ対策のページ

 相談員としての研修を受け、所属機関や所属学会、日本学術会議(天文研連)で大学や研究機関におけるパワハラ・セクハラ対策の相談を受け、解決に向けて携わってきました。具体的には、現時点では、日本天文学会で2010年に望月が声をかけてたちあげた「女性天文研究者の会」、女性で二人目の日本天文学会副会長として受けた相談や人事的助言、学会コンプライアンス委員としての活動、研究者個人としての活動が中心です。IAU Women in AstronomyのExecutive Comittee Member、JAICOWS、NWEC、ハラスメント関連の書籍・講座などで継続して学んでいます。日本物理学会では、男女にかかわらず研究環境の向上のため、学会誌への投書を読んだことをきっかけに周囲に声がけして研究者有志、学会事務局の方々とともに、2000年より学会託児室を立ち上げました。

2024年1月には日本BPW連合会ダイバーシティ・エデュケーター資格(DE)の認定を受けました。このDEシステムは、組織のハラスメント問題の対応や予防を含め、ダイバーシティを推進して組織を活性化させるために必要な知識やスキルを、グローバルスタンダードで身につけた指導者を普及することを目指しています。

このページでは、このような経験から学んだ対策や留意点をまとめていきます。

 ハラスメントとは、セクシュアルハラスメント、妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント、パワーハラスメント、アカデミックハラスメント及びその他のハラスメントを言う(厚生労働省、国立研究開発法人のハラスメント防止ハンドブックより)。

1)セクシュアルハラスメント

他の学生、同僚、職員等の就業環境を不快なものとし、能力の発揮に重大な悪影響を与えるなど、本人等が学業、研究、仕事をする上で看過できない支障を生ずる言動もしくはその環境等について不利益を与えることを示唆する性的言動。

2)パワーハラスメント

立場(職務)上の地位、権限、情報等なんらかの優位性を発揮出来る力を用いて、本来の学業、研究、業務の範疇を超えて、継続的に人格及び尊厳を侵害し、環境を悪化させ、あるいは雇用の不安を与える言動を言う。ただし、行為の悪質性、結果の重大性等によっては継続的でない言動についてもハラスメントとなることがある。

3)アカデミックハラスメント

研究の場において継続的に行われる研究妨害、暴言、指導の放棄等の地位や権限を利用した嫌がらせ及び地位や権限にかかわらず他の者を誹謗中傷する行為等人格及び尊厳を侵害する言動を言う。ただし、行為の悪質性、結果の重大性等によっては継続的でない言動についてもハラスメントとなることがある。

4)妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント

下記のいずれかに該当する行為により環境を悪化させ、本人等が学業、研究、仕事をする上で看過できない支障を生ずる言動を指す。

2-1 本人等が妊娠、出産、育児、介護に関する制度等の利用請求を行うことや、制度等を利用したことにより行われる嫌がらせ等の言動で下記の2-1-1から2-1-4のいずれかに該当する言動を行うこと。
2-1-1 本人等に対し、立場(職務)上の地位、権限により優位性を有する者が退学、解雇、その他不利益な取り扱いを示唆すること。
2-1-2 本人等に対し、立場(職務)上の地位、権限により優位性を有する者が制度等の利用の請求等または制度等の利用を阻害すること。
2-1-3 本人等に対し、立場(職務)上の地位、権限により優位性を有する者以外の者が繰り返しまたは継続的に制度上の利用の請求等または制度等の利用を阻害すること。ただし、本人等が意に反することを伝えているにもかかわらず、さらに制度等の利用の請求等やまたは制度等の利用を阻害する言動が行われる場合を含み、この場合は、さらに繰り返しまたは継続的であることを要しない。
2-1-4 本人等に対し、制度等を利用したことにより、繰り返しまたは継続的に嫌がらせ等の言動を行うこと。ただし、本人等が意に反することを伝えているにもかかわらず、さらに制度等の利用の請求等または制度等の利用を阻害する言動が行われる場合を含み、この場合は、さらに繰り返しまたは継続的であることを要しない。
2-2 本人等が妊娠または出産したことにより行われる嫌がらせ等の言動で、下記の2-2-1、2-2-2に該当する行為を行うこと。
2-2-2 本人等に対し、繰り返しまたは継続的に嫌がらせ等の言動を行うこと。ただし、本人等が意に反することを伝えているにもかかわらず、さらに制度等の利用の請求等または制度等の利用を阻害する言動が行われる場合を含み、この場合は、さらに繰り返しまたは継続的であることを要しない。

5)その他のハラスメント

上記1〜4に該当しない繰り返し行う精神的ないじめや嫌がらせ、差別的な言動により人格及び尊厳を侵害し、環境を悪化させ、研究、職務遂行を阻害する言動を言う。ただし、行為の悪質性、結果の重大性等によっては継続的でない言動についてもハラスメントとなることがある。

 厚生労働省は「職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて精神的・身体的苦痛を与える、または職場環境を悪化させる行為」と定義。暴行や脅迫、仲間外しなどの行為のほか、能力を超えたり、程度の低い業務の強制、私的なことへの過度な立ち入りなど、具体的に六つに類型化した。「上司から部下」だけでなく、「同僚間」や「部下から上司」にも起こりうるとした。

解決に向けて大切なこと

 ハラスメントは、自分さえ我慢していればと黙っていると被害が拡大したり、自身の心身に不調が現れたりする場合も多いです。一人で悩まずに早めに「適切な」人や相談室、カウンセラーなどに相談なさってください。

 

  • 加害者からの「謝罪」の大切さ -- 個人の尊厳の回復
  • ハラスメントを受けてから心身の回復へ向けての情報
(1) 「過度なストレスから心と身体をしっかり守りよい研究を〜知らないと損する10の知恵〜」
(2) 「アカデミック世界のマイノリティ:勇気を持って流れを変えよう」江口ひより(望月優子)著
(3)
  • 「未だかつて邪は正に勝たず」(菅原道真)
  • 「怪物と闘う者は、闘いながら自分が怪物になってしまわないようにするがよい。長いあいだ深淵を覗きこんでいると、深淵もまた君を覗きこむのだ。」(フリードリヒ・ニーチェ『善悪の彼岸』中山元訳、146節)
  • 「従来のやり方」に固執せず、「別種のやり方」もありうるということを信頼しつつ、時間をかけていろいろやってみる(木村大治)「折々のことば」朝日新聞 2020/11/16より
  • 「正しく強く生きるとは銀河系を自らの中に意識してこれに応じていくことである」
      (『農民芸術概論綱要』宮沢賢治著より)
  • 「サイプレスいかりはもえてあまぐものうづまきをさへやかんとすなり」
      (『ゴオホサイプレスの歌』宮沢賢治)
  • "Dream with ambition, lead with conviction." カマラ・ハリス氏
  • 「自分を励ます「おまじない」をもつ」
    『過度なストレスから心と身体をしっかりを守りよい研究を~知らないと損する10の知恵~』7)から抜粋
    • 「運も実力のうち、努力できるのも才能のうち」
    • 「捨てる神ありゃ拾う神ある」
    • 「あなたを殺さないものはすべてあなたを強くする」
    • 「あなたに解決できない問題はあなたに起こらない」
    • 「愉快な生活が最高の復讐である」"Living well is the best revenge"
    • 「失意泰然、得意淡然」(仏教の教え)
    • 「困ったことは起きない」「すべて良くなる」「嫌なことは思い出さない」
      (浜松医科大高田明和名誉教授おすすめの「言霊(ことだま)」)
    • 「ツイテル」「自分は運がいい」
    • 「幸福だから笑うのではない、笑うから幸福になるのである」アラン
    • 「後の先」:相手の攻撃を利用して倒すこと。剣道など日本の武道の極意
      (体力の劣るものが体力の強い者に勝つにはどうしたら良いか)「3つの先」
    • 「日々を記録することは、自分の日常を愛することである。」
    • 柳のようにしなって嵐が過ぎるのを待ってよい。「頑張り過ぎ」は折れる。鎌田實
    • 休息、癒しは必要。しかし、「過剰な癒し」は復活・復帰を遅らせる。レーヤー
    • 自然を感じる。花もよいし、星空、月を愛で、風や陽の光を感じることも◎
    • 自分で自分をケアできると強い。e.g.,マッサージ、趣味、セントジョンズ・ワートのハーブティー
  • 石岡瑛子の言葉
    • いつも崖っぷちに立っている、そんな実感があるわね。下手すると落っこって命を落とすわけだけど、そこにふんばって生き残るみたいな。。。そういう瞬間が何度もある。クリエイティビティの本質は、そういうことの中にありますから。
    • 自分で自分のデザインが正しい答えになっているかどうかをチェックする時に、マントラのように唱える言葉がある。それは、"Timeless", "Originarity", "Revolusionary"の3つです。
    • デザイナーもアスリートと同じで、徹底的に自分を鍛えないと。そうしてオリジナルな何かを生み出せないと、サバイブなんてできないですよ。
    • メッセージは常に時代の中で刺激物でなければならない。刺激的であればあるほど、共感も反発も激しく起こってくる。その共感や反発を積極的に受け止め、これから向かわねばならない時代の価値観を試行錯誤していこうとする。
  • 最初から与えられたものではなく、すぐれた場を作っていくというのもクリエイターの仕事のひとつだと思う。
  • 着地は熱情であらねばいけない。
  • 瞬発力と集中力と持続量を身につけて、知性と品性と感性を磨く。磨いて、磨いて、磨き続ける。ある時ふっと深い霧が晴れるように何かが少しだけ見えてくる。
  • 世界をリードするすぐれた表現者は、異口同音に私に向かって語りかける。表現にとって最も大切なことは、Discipline(訓練、鍛錬)だと。
強くなければ生きていけない、優しくなければ生きている資格がない
"If I wasn't hard, I wouldn't be alive. If I couldn't ever be gentle, I wouldn't deserve to be alive."
  (『プレイバック』レイモンド・チャンドラー著より)Living-Well is the Best Revenge(米国の格言)君が笑えば皆が笑う(ヴァージニア・ウルフ)恋するように仕事をする(桂 由美)リーターがすべき最も重要な選択は、奉仕することだ。<..... 私はその時、「やりきった」というより、もろもろの状況から「何もできなかった。結果も悪いものだろう」という不安が強くなっていて、誰に対してというわけではなく、たぶん自分に対して腹を立てていました。彼女はそんな私の様子を見て、さまざまな現場を見て歩いてきた人生の先輩として、アドバイスをしてくれました。「どんなひどい状況におかれても、その状態を俯瞰(ふかん)して楽しむことよ」と>2019年4月、東京都豊島区の区議選に立候補し、初当選した塚田寿子さんが「マガジン9」に寄せた追悼文「木内みどりさんのこと」より(毎日新聞記事 2021/3/21)
  • 「被害者保護」は本当か?
  • 「影響を受けた」と思っている側で大切なこと
    • 「自分を守るのは自分」という意識
    •  自分を傷つけられるのは自分だけ、と認識する
    • 「被害者」を「影響を受けている者」と言い換える
    • 「被害者意識」にからめとられない
    • 「毒」をはかない
    • 「理解者」をつくる
    •  大きなダメージを受けたら自分の気持ちは揺らぐのがふつう、と知っておく
    •  行き過ぎない、いい気にならない
    •  強いダメージを受けた場合、「集中力」の回復には時間がかかる
    •  苦しい時期の「研究」において気をつけたいこと
    • 孤独」あるいは「孤立(させられること)」が健康によくないことを知る
    •  ストレスが物忘れや脳萎縮につながる可能性があるという研究を知る 例1
    •  ストレスを「味方」につける --「体の反応は私を助けてくれている」 TED
    •  睡眠の大切さ -- 睡眠導入剤の服用で留意すべきこと
    •  

      チベットには、「体の問題を解決するときには心を動かし、心の問題を解決するときには体を動かせ」という諺があるそうです。つまり、病気など肉体の問題を抱えたときは心を変える努力をし、迷いや悩みのような精神の難題を抱えたときは、頭で考えるのではなく、体を使いなさいということだそうです。(『人間の頂 ― "生きる"意味を求めて』野口法蔵著より)

    •  以前、望月に「サバティカルで海外に滞在したらストレスがなくなって嬉しいことに毛が生えたんだよ」とおっしゃった教授がおられた(男性)。理由が科学的に解明された。(2021/4/16)
       ・ストレスは発毛を阻害する Nature, 592, 2021 リンク
       ・リラックスすると毛がより多く生える/Relax to grow more hair (上の論文のNEWS & VIEWS解説記事
      )リンク 「日本語要約:今回、マウスにおいて、ストレスホルモンが皮膚細胞を通してシグナルを伝達し、毛包幹細胞の活性化を抑制することが見いだされた。シグナル伝達を妨げると発毛が促進される。ストレスを抱えている人は気を付けましょう。」
    • 「心から血が流れている」と感じた時
    •  大自然の癒しの力
    •  心身のコントロールができるように呼吸法を学ぶ
    •  本格復帰へ、「癒し」の時間と量のコントロール
    •  精神的回復の過程を大事にし、100だった力を120にも130にもする
    • (苦しい時期がある程度すぎたら)頑(かたく)なにならない
    • 「奥の手」(個人に依る)
    • 「時間は味方」-「心の傷」は必ず癒される
    •  勇気は他者に感染する
  • 相談とアドバイスのページ
    •  どうすれば安全安心 職場のパワハラから身を守るには 相手の言動、日時を記録
    •  

       

      大学や研究機関におけるパワハラ・セクハラは、閉鎖的構造の中で、同じ加害者・被害者間で、解決したと思っても1年後に再発、といった事例が大変に多いそうである。相談弁護士やカウンセラーの知識としては、加害者側から(謝罪・もうやらないとの)「念書」を出してもらい、加害者、被害者双方でそれを持っておくことが、長年の経験から再発を防ぐために有効な対策ということであった。
      (「職場のハラスメント相談担当者向け養成講座(大学教職員向け)」ノートより)

    • 「九の慈悲に一つの憤怒」の実践はできるか
    • 「他者を助けることで自らも助けられていること」について
    •  #MeToo(わたしも)、#WeToo(わたしたちだって)、#WithYou(あなたとともに)の精神で
    •  大きなダメージを受けたら相談者の気持ちは揺らぐのがふつう、と知っておく
    • 「あなたは決して一人ではない」と伝えることの大切さ
    •  問題が落ち着いた研究者から他の方、特に少し下の世代の研究者や大学院生に伝えたいこと

      ケース1:研究職場の上司に好意を持たれセクハラと二次被害を受けてわかったこと
      ケース2:学界において科研費の採択辞退を強要された複数のケースとその考察

    •  相談を受けて困る時:自分ではサポートしきれないと判断せざるを得ないケースについて雑感

役に立つ資料

データ

有用リンク

役に立つ参考書

  • 『それ、パワハラです 何がアウトで、何がセーフか』、笹山尚人著、光文社新書(2012、定価740円)
  • 『職場のハラスメント なぜ起こり、どう対処すべきか』、大和田敢太著、中公新書(2018、定価860円)
  • 『KOKKO 第23号』-「パワーハラスメントとは何か」金子雅臣著、日本国家公務員労働組合連合会(2017、定価500円)