超重元素の合成研究では、119, 120番の新元素合成という大きな成果が期待されています。これらは周期表8周期の初めての元素であり、8周期元素の物理・化学はアジアが主導する旗印となることでしょう。これと並行して、核融合、核分裂、多核子移行過程の反応ダイナミクスの実験・理論研究を進め、新元素・新同位体合成に有効な核反応・入射エネルギーを明らかにしていきます。この研究により、新元素のみならず、現時点では未開拓の超重元素の中性子過剰側で多くの新同位体発見が期待でき、更には陽子数114―120、中性子数184に存在すると予言されている「安定の島」原子核到達に向けた今後の戦略を明らかにできると考えています。また、効率的な合成により、超重元素領域で行われている核化学研究を大きく進めることができる。核分裂の研究は r過程元素合成でも決定的な役割を果たすことは後述します。