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アジア初の新元素ニホニウムの合成、中性子星合体現象で強い証拠が得られた速い中性子捕獲過程(r過程)元素合成に関わる不安定原子核の生成、重いカルシウム同位体(質量数52--60)で見られる新奇現象、と現在人類の手が届く限界にある元素・原子核で高い学術的価値を持つ研究が現在進められています。 原子核と元素の存在限界への絶え間ない挑戦を行うことは、21世紀の原子核物理学にとって大変重要なことだと私達は考えております。

2019年に発足した日中韓フォーサイト事業「21世紀の核物理学:原子核と元素の存在限界到達に向けた反応ダイナミクスの研究」本では、①超重元素の合成、②新放射性同位元素の合成、③宇宙における重元素合成、における反応ダイナミクスの研究を推進する国際研究拠点の構築を目指しています。

現在東アジア地域は、日本の理化学研究所RIビームファクトリー(RIBF)及び大阪大学核物理研究センター・サイクロトロン施設(RCNP)、中国では中国科学院近代物理研究所HIRFL施設、と最先端加速器が稼働し、平行して中国のHIAF、韓国の基礎科学研究所RAONの次世代施設の建設が進められており、世界の原子核物理を牽引する一極の役割を担っています。本事業では、上に掲げた目標を達成するために、日中韓3カ国の重イオン加速器施設における実験研究とそれに関連する理論研究を有機的に結びつけ、これを通じて、3カ国を中心とした国際共同研究の強化、実験―理論連携研究の更なる推進、若手人材育成を行います。三カ国の加速器施設は、加速粒子、加速エネルギー、加速方法が異なっているため、これらを戦略的に活用する国際研究拠点を確立すれば、原子核物理学分野の研究拠点としてのアジアの役割を更に高め、国際的な研究発展に大きく資することができると考えています。