アキレス腱が切れた!


年寄の冷や水
断裂した日 2003年3月16日
原因・症状 私は 若い頃バレーボール、そのあとテニスをやってました。
 しかし、最近はほとんど体を動かしてなく、7ヶ月ぶりくらいのテニスでした。午後2時すぎから3時間くらい断続的にダブルスの試合をしていましたが、短い球に対応しようと、ベースラインからまっすぐ前へ出ようとした第一歩で、右のが切れました。後ろから球をぶつけられたような、とか、バンと音がする、と聞いていた通りだったので、これはアキレス腱だと思い、すぐ怪我人モード(自分で歩かない)になりました。
 痛みはほとんどなく、足首を動かせたので、仲間は「肉離れかなんかでは」とか希望的観測を言ってくれましたが、ちょっと心得のある人が腱反射を見てくれて、どうも切れてるらしい、となりました。テニスクラブの方が地元の病院に連絡してくれ、たまたま整形外科医が当直という幸運にも恵まれ、応急処置をしてもらいました。

処置・
リハビリなど
現地の病院で 
 触診とレントゲン撮影の結果、「切れている」。ギブスで固定し、松葉杖を借りました。なるべく早く自宅近くの医者に見てもらえ、ということで、山梨のテニスクラブから埼玉の自宅へ帰ることにしました。手術するかどうかは、医者の方針にもよりますから ... とやや曖昧なことを言われ、少し不安でした。
 電車(特急)では車掌が新宿駅に車椅子を手配してくれ、ホームからタクシー乗り場まで押していってもらいました。こういうサービスは近年ずいぶん充実しているものだと感心しました。帰宅後、近所で評判が良い(妻の情報)ということで、ある整形外科の医院に連絡しました。深夜でしたが、当直の医師と連絡がつき、症状等を説明し、翌日に診察してもらうことにしました。このへんでやや安心。
 今回はいろいろと幸運だったのですが、その一つとして、妻がいっしょであったということがあります。(1) 切れた時からの全てを見てもらっていたこと。(2) 断裂後の一番大変な時に助けが得られたこと。(3) 一緒に遊んでいた時のことだったので、「ばかもん」と怒られずにすんだこと ....


ともあれ
 翌日その整形外科で、超音波診断も含めた診察の結果、一番切れやすいところで完全に切れている、とのこと。基本は保存療法だが、「どうしても希望するなら手術します」と言われ、保存療法を選びました。手術のほうが、多少直りが早いこと、自然にまかせないので、確実にくっつくこと、などの利点はあるが、体にメスを入れないで済むならそのほうがよい、というのがその医師の意見でした。
 膝上までのギプスをされ、保存療法の原理、今後の治療予定などの説明を受けました。膝上ギブス1週間、膝下ギブス3週間、その後は装具で足首角度調整、通常日常生活に3ヶ月、テニスは1年、とのことでした。最初のアキレス腱が繋がる時期は、まわりに結合組織が保護のためにできるので、それと腱の癒着を防ぐために足指の運動が必要なこと、ギブス装着時の筋力低下を補うトレーニングをまじめに行うべきこと、腱が繋がった後はリハビリで伸ばしてゆくが、再断裂を起こしやすい時期なので、注意が必要なこと、など。
 多少内出血があるものの、アキレス腱自体に痛みはなく、ふくらはぎの筋が伸びていて、そちらに痛みがありました。数日間は、うっ血によるむくみがあり、右足の置き場に困るような状態でした。
 最初はやや気が動転していたこともあり仕事を休みました。後にアキレス腱断裂の経験談がたくさん載っている web site があることを知りましたが、この時はなにもわからず不安でした。デスクワークであり、職場が近い(歩けば 10 分ほど)こともあり3日目から働きだしました。松葉杖で行く元気はなく、タクシーで行き、車椅子で職場内を移動することにしました。目立つのでずいぶん有名になってしまうと同時に、切ったことがある人がけっこう多いことを知りました。


経過(日誌)
3月17日  膝上までのギブスで固定
3月18日  ギブスの状態確認、筋力トレーニング(ももなど;22日も)
3月24日  膝下までのギブスに変更、筋力トレーニング(数日おき)
4月 9日  ギブスを外し(縦に2分割)装具の寸法をはかる
       分割ギブスを包帯で巻いて固定
4月15日  断裂以来初めて遠出(池袋)
         同僚の車で行って、車椅子を用意してもらって用事を済ます
         久しぶりということで近くの飲み屋まで松葉杖で - きつい
         結局大枚?をはたいてタクシーで帰宅
4月16日  装具をつける(4枚のくさび状のスペーサーがかかとに入っていてる)
         ようやくギブスから解放 / 直立二足歩行(松葉杖補助つき)
4月23日  1枚目を取る
         数日おきに、電熱暖め、マッサージとトレーニング
4月30日  2枚目を取る
         連休もありマッサージはお休み
         このころから職場から歩いて帰る(行きは時間節約でタクシー)
5月 7日  3枚目を取る / 足首の角度が動くように装具を調整
         足首を曲げるトレーニングを開始
         職場の往復は歩いて(松葉杖なし)
5月11日  自宅で、装具をつけずにそーっと歩いてみる -> ほぼ真っ直ぐ立てる
5月14日  診察 / 良くなっているが、最後の1枚はそのまま
         座ってかかとを上げる運動 / ももの筋肉を鍛える運動
         全体に順調 / ここから数ヶ月は再断裂の危険が高い
5月16日  断裂からちょうど2ヶ月 / 自宅では歩幅 40cm くらいで歩いている
5月21日  診察 / 基本的に装具は終了
         しばらくは、通勤時のみ装具装着の予定
         テニスは 6 ヶ月後くらいからとのこと
         座って膝の上から荷重をかけるストレッチ法
5月22日  調子が良さそうなので、予定を変更して通勤も装具なし
5月25日  ちょうど 10 週経過 / 少しづづ歩幅が広がる
         まあ歩けるのだが、親指からつま先には体重がかからない
6月3日   12 週目 / ほぼ普通の歩幅で歩けるようになる / 歩速は7割くらい
6月7日   診察 / 大変順調 / マッサージ等は不要 / 一月に一回診察
         運動は断裂6ヶ月後から / 急にしゃがむ動作に注意
6月12日  初めて旅行 - 奈良で一泊 / たくさん歩き、やや足が疲れた感じ
6月14日  断裂より約 3 ヶ月経過 / 徐々に足首は曲がるようになり、歩速も上がる
       急ぐ時は自転車通勤
6月15日  明日よりモスクワへ / 重い荷物を持っての移動は大丈夫か?
       つま先を体重計にのせて測ってみると、50 kg くらいまで可(体重 77 kg)
6月20日  モスクワ滞在 5 日目 / 慎重に行動 / つま先へ体重をかける練習は中断
6月23日  無事帰国 / だいぶ体重を均等にかけて歩けるようになった
6月26日  片足つま先立ちができた(まだ数秒)
7月4日   他の人と同じ速さで何とか歩ける / 日常生活は支障なし
       回復の速さはあまり感じられなくなった
7月21日  先週の日曜から、アメリカとカナダに出張し、昨日帰国 / けっこう歩いた
8月3日   断裂後はじめてテニスコートへ / ボレー、サーブをおそるおそる
8月10日  足で蹴れるようになってきたので、軽く小走りをしてみる
9月19日  全力ではないにせよ普通に走れる / 足首は切れた側のほうがよく曲がる
11月3日  切った時と同じテニスクラブで以来始めてダブルスの試合 / とりあえずはできた
2004年
3月16日  一周年である / まだ少し太いが、日常は気にならず
4月6日   伊達公子がテレビに出ていた / 彼女は2年前に切って今はマラソン!
感想など ひやっとしたこと
 ギブスをしていたころ、松葉杖が滑って足をついてしまいました。慌てて反対側にころんだので、何とかダメージを与えずにすみました。
 もう一回は、ギブスがとれる直前のころ、反対の足(左足)で蹴りながら自転車に乗ったら楽かと思ってやってみたら、右に曲がるとき思わず右足をついてしまいました。5分くらいアキレス腱周辺に痛みが残りましたが、大事には至りませんでした。右に曲がる時に右足をついてしまうのは当たり前、と息子に笑われてしまいました。   
入浴
 ギブスをしている時は風呂には入れないので、妻に体を洗ってもらっていました。本当に夏でなくてよかった。
 装具になってからも、てっきり風呂には裸足をつかないと入れないと思いこんでいてました。始めて湯舟に入れた時はうれしかった。   
いわゆるバリアフリー
 職場内を車椅子で移動しだすと、いわゆるパリアフリー関連の状況が実感されます。職場の建物は 40 年前くらいのものなので、必ずしも良く出来ていません。食堂へは非常に遠回りすれば車椅子で行けるのですが、えらく大変なので、階段で同僚に車椅子を運んでもらいました。私の場合はおりられるのでよいのですが、電動車椅子の人の場合は4人がかりでないと運べないようです。
 職場では時々隣の建物に行く必要が生じます。そのためには、けっこう急な坂道を通らなければなりません。1人では危なそうなので、だれかに押してもらっていました。また、ちょっとした段差も車椅子には大変なんだ、ということが分かりました。
家族・同僚に感謝
 たまたま職場が近かったこともあって、ほとんど休まず仕事をすることができました。しかし、それを可能にするために、ずいぶん同僚と家族に協力してもらいました。
 通ったのは小さな個人病院なのですが、診察、処置、マッサージ、リハビリから装具の調整(これは出張)まで同じところでできるので、便利でした。カルテを通してだけでなく、先生同志や看護士とのコミュニケーションも良いみたいで、信頼感がありました。   


08 Apr. 2004