研究会   「 数理連携 10の根本問題の発掘 」

 

2011年 12/26 (月) - 12/29 (木) ,  理化学研究所 大河内記念ホール



世話人:

  津田一郎(北海道大学数学連携研究センター長)

  小谷元子(東北大学原子分子材料科学高等研究機構(WPI-AIMR) 副機構長)

  橋本幸士(理化学研究所准主任研究員)

研究会は無事、盛況のうちに閉幕しました。参加者のみなさまに感謝いたします。
報告書に、10の問題の抽出をまとめました。ご覧いただければ幸いです。


プログラム
--- 12/26 ---「特異点と次元」
 2:20-3:40 荒井迅(北大 理)「力学系における特異点と次元」  
 4:00-5:20 河本昇(北大 理)「量子重力とフラクタル次元:
                  トポロジカル不変量の任意次元への一般化」
--- 12/27 ---「特異点と次元」
 10:30-11:50 小玉英雄(KEK)「時空特異性と物理学ー時空特異性の解消は可能か?」
 2:00-3:20 白水徹也(京大 物理)「相対性理論、次元、そして特異点」
 3:40-5:00 高安秀樹(明大先端数理)「特異点と次元の視点からみた経済・社会の現象」
--- 12/28 ---「脳と生物学」
 10:30-11:50 永井健治(北大 電子研)「個と多数の狭間が織りなす生命現象
                   の解明を目指して」
 2:00-3:20 虫明元(東北大 医)「動的システム脳科学の観点から」
--- 12/29 ---「数学と物性を巡って:超弦理論とソフトマター」
 10:30-11:50 大栗博司(Caltech /東大IPMU)「超弦理論と場の量子論」
 2:00-3:20 古崎昭(理研 基幹研)「トポロジーと絶縁体」
 3:40-5:00 中嶋健(東北大学WPI-AIMR)「ソフトマテリアルの未解決問題 
                     ーエラストマーを中心にー」
招待討論者(敬称略順不同):
 甘利俊一(理研脳センター)長田義仁(理研基幹研)河本昇(北大物理)
 中原裕之(理研脳センター)金子邦彦(東大総合文化)合原一幸(東大生産研)
 高橋陽一郎(東大生産研)深井朋樹(理研脳センター)豊泉太郎(理研脳センター)
 小松崎民樹(北大電子研)西野吉則(北大電子研)根本知己(北大電子研)
 初田哲男(理研仁科センター)中務孝(理研仁科センター)多田司(理研仁科センター)
 鈴木博(理研仁科センター)尾畑伸明(東北大情報)細谷暁夫(東工大理)
 平岡裕章(九大 マス・フォア・インダストリー研)山田澄生(東北大理)


本短期滞在型ワークショップの開催趣旨は数学・数理科学と諸分野の境界に潜む根本問題の抽出である。
 20世紀前半においてD.ヒルベルトが23の問題を提案した。それが一つのきっかけとなり純粋数学はその後の発展を加速した。20世紀の終わりにはS.スメイルがヒルベルトの未解決問題を含み、応用分野へも踏み込んだ18の問題を提案した。さらにミレニアム懸賞問題も提案された。スメイルの18の問題の18番目は「自然知能(脳)と人工知能の限界をそれぞれ示せ」というもので、いわゆる具体的な問題ではない。しかし、こういったプレ問題は人々の思考をその方向に向けるのに効果的であり、今後さらに問題が具体化されていくことが期待されている。
 今回の滞在型ワークショップにおける目標は、数学・数理科学と諸分野の境界に潜んでいる根本問題を抽出することで新しい数理科学の確立に向けての活動の一躍を担うことである。「数理連携10の問題」という形での問題抽出を目標とする。連携がすでに緊密になっている境界領域(例えば本提案の「特異点」)ではヒルベルト型の質の高い根本問題が具体的に提案されることが期待され、また今後さらに連携が強化されるべき領域ではスメイル型の方向性を示唆する根本問題が提案されると期待される。
 今回のワークショップでは討論テーマと相互作用すべき分野を以下のように定めた。
1.「特異点」、2.「次元」― 数学と素粒子論・宇宙論、数学と工学と社会科学、3.「脳」― 数学と生物・脳科学、4.「超弦理論の数学と物性」、5.「ソフトマターと物質科学」― 数学と物質科学
  このうち1と2は天体核・宇宙論・素粒子論で話題になっているヒッグズ粒子の質量、ダークマターの質量を計算するときに現れる特異点や次元、相対性理論、シュタイナー問題、タイヒミューラー空間などの幾何解析に現れる特異点、量子重力におけるフラクタル次元、さらには神経回路の学習に現れる特異点とミルナー・アトラクターの関係、工学的視点から見たディスロケーションのような特異点(捩率の発生)、フラクタル次元の社会科学への広がりなどが重要だと言われている。この領域では互いに根本問題の存在に気付いているが、異分野交流が十分になされていないことからその定式化および解決に至っていないのが現状である。本シンポジウムによって問題の定式化が一挙になされ、解決への道筋を示すことができる。3に関して、神経回路網の学習理論においては情報幾何学の創出に至っているが、数学からの寄与に乏しく、長く新たな発展が期待されている。これに加えて、脳の学習・記憶の根本原理を解決するには数学が必要である。本シンポジウムにおける実験家と数学・数理科学者との討論により、新しい生物・脳科学の領域が開かれる。4はAnti de Sitter 空間と共形場理論を強相関電子系へ対応させる理論が進展しているので、数学者の寄与が必要とされている新しい分野である。5は生体高分子のような複雑系のさまざまな特性や強相関電子系、トポロジカル絶縁体における新しい量子相の研究は数学的に定量化することで発展が期待されるが、数学者との相互作用が極めて限定的であるので、これを拡張、強化することで問題の発掘、解決への道筋を示す。http://ribf.riken.jp/~koji/Workshop_files/summary.pdfhttp://ribf.riken.jp/~koji/WS-slides/arai.pdfhttp://ribf.riken.jp/~koji/WS-slides/kawamoto.pdfhttp://ribf.riken.jp/~koji/WS-slides/kawamoto.pdfhttp://ribf.riken.jp/~koji/WS-slides/kodama.pdfhttp://ribf.riken.jp/~koji/WS-slides/shiromizu.pdfhttp://ribf.riken.jp/~koji/WS-slides/ooguri.pdfhttp://ribf.riken.jp/~koji/WS-slides/furusaki.pdfhttp://ribf.riken.jp/~koji/WS-slides/nakajima.pdfhttp://ribf.riken.jp/~koji/WS-slides/nakajima.pdfhttp://ribf.riken.jp/~koji/WS-slides/arai.pdfshapeimage_1_link_0shapeimage_1_link_1shapeimage_1_link_2shapeimage_1_link_3shapeimage_1_link_4shapeimage_1_link_5shapeimage_1_link_6shapeimage_1_link_7shapeimage_1_link_8shapeimage_1_link_9
 

主催:文部科学省、北海道大学、東北大学、理化学研究所 仁科加速器研究センター、

   理化学研究所 基幹研究所、理化学研究所 脳科学研究センター