ふと、目にした8月初めの新聞の火星大接近の記事を読んで、 はるか昔、少年時代に、組み立て式の屈折望遠鏡(100倍) で星を眺めようとしていた頃を思い出しました。当時、木製の経緯台はすぐ壊れて、ファインダーもない筒だけで星を見るの はすごく大変でした。その頃の思いと、娘の夏休みの自由研究の助けにと、急に思い立って、 天体望遠鏡(VMC200L)とGP赤道儀を買いました。VMC200Lは屈折式と反射式をあわせた構造の カタディオプトリック式と呼ばれるもので、口径(200mm)と焦点距離(1950mm)の割には、鏡筒が短く、狭い場所でもとても取り扱いやすいものです。 それを自宅の10Fのベランダにおいて、火星をみました。北極星が見えない場所なので、最初は赤道儀は水準器と方位磁石で大雑把に 合わせただけですが、後に慣れてくると自動追従のずれから、ある程度修正できるようになりました。
火星をみるときは、接眼レンズはPL6mm(倍率 325倍)ぐらいが、コントラストもよく、極冠や模様が一番良く見えるようです。また非常に条件のいい時は、LV4mm(倍率
488倍)でもよく見えます。手持ちのカメラを接続して、 初めての天体写真も試してみました。空が明るい市街地なので、条件はよくありませんが、自転の様子もよく
分かります。明け方4時近くになると火星の色は赤みをましてきました。
火星の写真をよく見ると、上下方向に色ずれが少しみられますが、これは大気による色分散(プリズム効果)のためで、火星の仰角が小さいときほど、色ずれは 大きくでています。これを補正するには、撮影時にレンズ系に補正プリズムをいれる(仰角によっ補正量が異なります)か、あるいは、撮影後の画像を色分解 して、ずれを補正して重ねる方法があるようです。ここでは、まだ補正はしていません。
9月9日は火星と月が大接近する日です。天体望遠鏡(VMC200L)とD100カメラで直焦撮影 をしてみました。直焦撮影は、天体望遠鏡の接眼レンズ、カメラのレンズは使わずに、望遠鏡の対物レンズの焦点面にカメラのCCDをおく撮影です。 下図の左から最接近前の20時1分(JST)、最接近の20時38分、その後の21時49分(右)です。(ISO400,シャッター速度 1/125秒) 画像をクリックすると大きな画像をみることができます。 よく見ると火星の極冠や模様、 月の表面の起伏(左下の部分)の様子も見ることができます。
いまの季節は、火星の比較的そばに天王星がいるので(水瓶座のτと38番星の間)、火星と天王星の赤経、赤緯の差から火星から天王星を探してみてみました(9月13日)。とりあえず直焦撮影をしたのが下の写真(ISO-H1 露出30秒)です。中心近くの明るい星が天王星です。天王星の明るさは5.7等、視直径は、3.7″で今の季節の火星(明るさ -2.7等、視直径24″)にくらべると、ずいぶん暗くて小さいですが、恒星とはちがって大きさが見えます。
火星と,そのそばにいる天王星の撮影です。露出以外は同じ条件で、同じ倍率です。天王星は青緑色をしていて, 明るさは5.7等、視直径は、3.7″で今の季節の火星にくらべると、ずいぶん暗くて小いですが、恒星と はちがって大きさが見えます。 参考までに天王星のすぐばの恒星(水瓶座τ星)も解像度チェックのため右下に入れています。(撮影条件 ビクセンVMC200L、ペンタックスX05、ニコンD100 拡大撮影、2003年9月17日 1) 左図 火星 23時46分(JST) ISO-1600 1秒 , 2 ) 右図 天王星 23時59分(JST) ISO1600 2倍増感 10秒 3) 右図右下はめ込み 水瓶座τ星 24時13分 (JST):ISO1600 2倍増感 2秒)